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打ち抜き工程における打抜刃の種類と特徴

皆さまこんにちは。MH Packagingの北村です。

今回は打ち抜き工程(トムソン)の、打抜刃についてお話しさせていただきます。

打抜刃は、刃先形状、高さ、厚み、角度、ボディ硬度、刃先硬度などがそれぞれ異なっており紙質やロット数によって使用する種類が選択されます。

両刃: 刃厚のセンター上に刃先が位置している一般的に使われる切刃

一般にコート白ボール板紙では刃の厚み0.7mm、刃先角度43°(メーカーによっては 42°もある)のものが使用されています。

刃先部硬度では先端より0.3mmだけ高周波熱処理することによって硬度をアップさせ、厚み0.7mm、ボディ硬度50°、刃先硬度72°のものが紙器ではよく使用されます。 大ロットでは厚み0.7mm、ボディ硬度60°、刃先硬度80°の耐久性を重視した刃が 使用されることもあります。

片切刃: 刃先先端部が刃厚のセンターからはずれた位置にある切刃

厚紙などは両刃抜きの場合、切口断面が刃先角度に影響され、打抜き表面の寸法が裏面の寸法より減少する場合があります。このような場合等に片切刃が使用されることがあります。

2段刃・3段刃: 刃先先端は刃厚のセンターにありますが、両刃と異なる点はシノギ部分が長く、打ち抜かれる材質との摩擦係数が小さいので、厚みのある板紙や硬い板紙に使用されることがあります。

日々の作業の参考にしてみてください。

切り刃イメージ図

 

 

トラッピング

皆さまこんにちは。MH Packagingの北村です。

本日は後方ユニットYインキが前方のBやCインキで濁ってくるトラブルについてお話させていただきます。

ウェットトラッピングでインキのタックやインキの盛り量のトラブル【逆トラッピング】です。

逆トラッピング、トラッピング不良は主にウェットトラッピングにおいて発生し、後刷りインキの転移が不十分になる現象です。通常プロセスインキのインキタックは、刷り順に応じてタック調整がされている組み合わせとなっています。これをタックバランスといい、このバランスに注意が必要です。また、助剤の入れすぎや過乳化などでタックが低下すると、タックバランスがくずれて後胴でインキとられなどが発生します。

※プロセスインキのタック値(例)

POINT:特色インキ作成の場合は主量となるインキに影響されます。

先刷りインキの盛り量が多過ぎると、インキのセットが遅くなるためトラッピング不良、逆トラッピングが起こりやすくなります。濃度があるインキ、特に墨インキはある一定の濃度、盛り量に達すると目視確認では墨(黒)に見えるだけで、濃度上昇を判定しづらくなります。=盛り過ぎに気付かない。そのため濃度があるインキ、特に墨インキは濃度計などで盛り量管理(濃度管理)が重要です。墨インキ自体の濃度不足により、濃度確保のため盛り量を上げて印刷しなければならない場合は濃度のあるインキタイプ(コンク)に変更もしくは、インターデッキを併用して乾燥させて印刷を行うなどの方法をお試しください。

 

横長サイズの紙による左右の刷色不安定について

皆さまこんにちは。MH Packagingの北村です。

本日は、横長サイズの紙を印刷する際の左右の刷色不安定についてお話をさせていただきます。

幅方向に大きい用紙を印刷する場合、特にダンプニングローラー(調量ローラー)の調整が重要となります。

注意点

  1. 印刷物は機械の中心を基準に、用紙幅や絵柄が左右に広がります。そのため、印刷結果(刷り色)に問題がない場合は、スキュー機構の設定値は「0」のままで問題ありません。まず、版面のくわえ側(ギャップ)の中央と左右でインキの付き具合(汚れ方)を確認してください。※中央と左右でインキの付き具合が同等(細い一本線)であることが理想です。
  2. 用紙幅や絵柄が大きく、中央部の水上がりがうまくコントロールできない場合は、スキュー機構を調整してください。そして、ジョブ終了後はできるだけ設定値を「0」に戻すことを推奨します。ローラーを常にひねった状態で使用し続けると、ローラーの寿命が短くなり、印刷トラブルの原因となる可能性があります。

刷色合わせのコツ①インキ呼び出し回数

皆さまこんにちは。MH Packaging の北村です。

印刷現場において、刷色の安定化は多くの方が抱える課題ではないでしょうか。そこで本日は、今回は刷色の安定化のコツのひとつ「インキ呼び出し回数設定」についてお話ししたいと思います。

インキ呼び出し回数は通常「1:3」

一般的に、インキ呼び出し回数は「1:3」に設定されています。これは、3枚の印刷ごと(版胴が3回転するごとに)インキ呼び出しローラーがインキ元ローラーからインキを取り出すという意味です。

たとえば、試刷り作業でインキスライダー(盛り量)を調整しながら、30枚の用紙を数回印刷する場合、30枚の印刷中にインキが元ローラーから呼び出される回数はおよそ10回です。

呼び出されたインキが十数本のローラーを経由し、版面に到達するまで(=「自分がスライダーを調整した結果」が反映され始めるまで)には一定の時間がかかります。具体的には、インキスライダーの調整結果が実際に反映され始めるまでには、約100枚の印刷が必要だと言われています。

これをイメージすると、刷色の安定には最低でも100枚以上の印刷が必要だと考えられます。

特に、極小の絵柄においては、インキ量のコントロール、すなわち刷色の安定を図るのはインキスライダーだけでは難しい場合があります。これは「インキ調整幅」が狭いため、濃度調整や安定化がより困難になるためです。

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後刷りインキ濁り

皆さまこんにちは。MH Packagingの北村です。

本日は、多くの方が一度は直面したことがあるであろう「インキの逆トラッピングの1種、後刷りインキ濁り」についてお話させていただきます。

・逆トラッピングの一種の後刷りインキ濁り: 後刷りで印刷されるインキが、先刷りインキによって濁る現象を指します。これはウェットトラッピングにおいて、インキのタックや盛り量に起因する問題です。逆トラッピングやトラッピング不良は、主にウェットトラッピングにおいて発生し、後刷りされるインキの転移が不十分になる現象です。

・インキのタックについて: 通常、プロセスインキは印刷順に応じてタックが調整されており、適切なタックバランスが必要です。しかし、助剤の過剰な使用や過乳化によりタックが低下すると、このバランスが崩れ、後刷りで先刷りインキ取られが発生することがあります。

・補足:特色インキを作成する場合、主となるインキに影響を受けやすいことに注意が必要です。

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