インドネシアの投資環境

皆さまこんにちは。MH Packaging Inc.の吉岡です。

先日、私がかつてインドネシアで勤務していた経験について触れましたが、今回はその続きとして、海外情報カテゴリの「インドネシアの投資環境」に焦点を当ててお話ししたいと思います。

私は、コロナ禍の真っ只中にインドネシアの日系機械メーカーで営業マネージャーとして勤務しておりました。インドネシアは、総人口が2億7千万人を超え、平均年齢は29歳と若く、65歳以上の人口比率は約7%です(参考までに日本は約30%)。こうした活力に満ちた市場であることから、有望な進出先の一つとして候補にあがることが多いです。

インドネシア市場が有望視される理由として、「今後の成長性」、「現状の市場規模」、および「安価な労働力」などが挙げられます。しかし一方で、課題として指摘されるのは「法制度の運用が不透明」である点です。具体的には、文書内に曖昧な表現が多く、役所の担当者によって解釈が異なることが頻繁に発生します。また、外資系企業を対象とした恣意的な運用と思われるケースも少なくなく、役所への対応に多大な労力を要し、これが経営に無視できない負担となっています。さらに、政令を中心とした法改正が頻繁に行われることも、外資系企業が抱える大きな課題の一つとされています。

続いて、「他社との厳しい競争」も課題の一つとして挙げられます、インドネシアへの外資系企業(特に日系)の進出は1960年代に始まり、大手企業の進出は既に一巡している状況です。加えて、業種によっては、地元の財閥系企業を中心としたローカル企業が力をつけており、これが市場競争の激化に繋がっていると考えられます。

さらに、労働コストについても「安価な労働力」というイメージが薄れ、上昇が課題の一つとなっています。労働コストの上昇は、最低賃金の計算式が「インフレ率+GDP成長率」として明確化され、オムニバス法により県・市ごとの最低賃金や業種別最低賃金が撤廃されたことで、ある程度予測は可能になりました。それでもなお、外資系企業にとっては依然として大きな経営課題であることに変わりはありません。

私が勤めていた企業では、現地のマネージャークラスの月給は28juta(約27万円)でした。また、インドネシアはイスラム国家であるため、業務中に2~3回のお祈りの時間があり、その間は業務を一時離席します。さらに、お客様との交渉においても、「アッラーのみぞ知る」と、真剣に返答をすることがあり、こうした宗教的背景への理解が求められます。

とはいえ、インドネシアは日本の約5倍の国土を持ち、依然として人口ボーナスを享受している成長市場です。外国企業を誘致するための投資奨励措置も行われており、東南アジアへの進出を検討する企業にとっては非常に魅力的な国の一つと言えるでしょう。